FC2ブログ

『ノーゲーム・ノーライフ』3巻 感想。

ラノベ感想
01 /30 2013


(※ 2巻と3巻のネタバレがやや含まれていますので、未読の方はご注意ください。 ※)

ゲームに勝てば世界も征服できる、ゲームによるゲームのためのゲーム小説第三巻。今回も、めっちゃ面白いぞ!
すぐれたゲーム小説は、最高のミステリと同じような興奮と感動を与えてくれる。
そんな言葉が思い浮かぶほどに、面白さと密度、そして人工的なありえない美しさを持った作品だった。

今回はもう、1巻から続く展開の総決算という感じ。2巻のあとがきで、この3巻でようやく世界征服のための最低限の手札が揃うと書かれていたけど、まさにだね。

2巻の展開を忘れた人にちょっと説明すると、現在の空たちは獣人種(ワービースト)とゲームを行うことになっております。
空たちが賭けているのは、人類種(イマニティ)すべてのコマ。つまりは人類種すべての命。
ワービーストは、戦った相手の記憶を消すことで出来るので、敵国に情報をもらすことなく大国に成長できた。
それで空たちが挑戦しようとしていたところ、みんなから空の記憶が消えてしまった……というところまでが、2巻のおさらい。

白以外の全員から空の記憶が消えるという、衝撃的な状況で終わりを迎えたのだが、そこからの展開がまた怒涛。これは、想定していなかったなあ。
一見すると、空がゲームに負けたとしか思えないのだが、そう簡単にはことは運ばない。この空の消失もまた、ゲームの一環だった。

この空がやっているゲームだけど、ルールの説明そのものがネタバレになるので紹介が出来ない。
それが残念でならないけど、この勝ち方は好みだなあ。
1巻2巻と積み重ねてきたものがあるからこそ、このありえないような賭け方と勝ち方が出来たんだし、読者も納得が出来るというもの。設定の、上手い活用だよなあ。

この、空が考え出した勝ち方も圧巻なのだが、最大の盛り上がりは次だね。
ワービーストとの対決は、仮想空間でのサバイバルゲーム。ようするに、ゲームの中に入って、FPSを実際にやるってこと。
2巻でも登場したように、コンピューターゲームだからこそ、魔法によるいかさまが出来ない。そのため、身体能力に優れているワービーストに有利となる。

この新しいゲームでの勝ち方も、じつにお見事。
最初にルールを説明し、そこから対戦相手と読者の隙をつき、見事に足元をすくってくれた。
ゲームだからこそ、そして、ライトノベルだからこそ出来た見事な勝利でしょう。

そして、2巻のあとがきで作者が書いていた「チェック・メイト」。それを、こんなかっこよく扱ってくれるとは思わなかった。まさに、王手と詰みの差だね。
こんな風に、ちゃんと巻数をまたいで、前振りではなく伏線になっている展開は好みだなあ。

この『ノーゲーム・ノーライフ』が面白いのって、『ライトノベル』という設定を十二分に活用しているところにあるんだろうな。
登場人物が神の如き計算能力の持ち主といわれているのなら、実際にそうである世界。それが、ライトノベルの魅力でしょう。現実味が乏しい設定だからこそ、現実ではありえない驚くべき展開も容認できる。

今回のゲームもそう。
「まさか、そこまで計算できるわけないでしょう」「そんなの、ご都合主義だ」
などという、ミステリを読んでいるときに思い浮かびやすく、また、よく批判の的とされるその文句も、ライトノベルという土壌でならば意味を持たない。
そんなこと言ったら、登場するヒロインが全員美少女ってどうよ? とか、異世界ってなによ? ってことになっちゃうんだから。

この、『何でもありの世界』という、特殊設定の第一歩を容認できるからこそ、とんでもない作戦にも納得がいくというものでしょう。
「どんな計算でもこなせる」と言われれば、それを考慮した勝ち方がある。ルールを飲み込めず、負けたほうが悪い。
ここらへんの、ルールを加味した上で用意された謎解き(駆け引きと勝ち方)ってのも、ゲーム小説と特殊設定ミステリの共通点だよなあ。

『ノーゲーム・ノーライフ』はライトノベルという舞台を使い、『ありえない』設定を特化させ、謎解き(勝ち方)に繋げた。それだからこそ、ゲーム小説としても、特殊設定ミステリとしても面白い作品になったんだろうな。
いまのところ、間違いなく傑作の名を与えてよい作品ですね。


あとがきなどを読むと、たぶんこの3巻までをひとつのエピソードとして考えていたのかな? 
2巻と3巻はどう考えても繋がっていたし、1巻の話とも関係しているからね。
こうなると、いまから色々しかけがされていそうだなあ。
この3巻で注目されだした、空文かしていると思われたあのルールも、今後すっごい面白い使い方されそうだし、ああもう、早く続きが読みたい。

3巻まで終わっても、面白さが減少するどころか、どんどん盛り上がっていく。
これはもう、続きを楽しみに待つしかないでしょう!


――――――――――――
感想リンク
『ノーゲーム・ノーライフ』1巻
『ノーゲーム・ノーライフ』2巻
『ノーゲーム・ノーライフ』4巻
『ノーゲーム・ノーライフ』5巻
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 雑感。
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 感想。
『ノーゲーム・ノーライフ』7巻

『ノーゲーム・ノーライフ』16種族についてのメモ。
・ライトノベル感想:榎宮祐作品は人間賛歌だ!
スポンサーサイト



fujimiti