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北山 猛邦『人外境ロマンス』感想。

ミステリ・SF感想
08 /30 2013
人外境ロマンス (単行本)人外境ロマンス (単行本)
(2013/06/29)
北山 猛邦

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『人外境ロマンス』読了。
ミステリだと思って読んだら、ミステリ風味の童話でした。

全体的に、北山先生の魅力のひとつである、童話調の雰囲気が全面に押し出されている。
ファンタジーというよりも、童話やおとぎ話といったほうが近いでしょうね。
人と話をする薔薇や妖怪など、現実にちょっとしたメルヘン要素を加えた物語。

本格ミステリを期待してしまうと肩透かしを食らうけど、人間と人ではないもののあいだに生まれる淡い感情ってのが好きな人には楽しめるかもしれない。
『夏目友人帳』とか、そこらへんの作品と雰囲気は似ているといえば似ている。

しかしそれでも、北山猛邦らしいといえばらしく『つめたい転校生』と『はかない薔薇』はけっこうミステリしている。

『はかない薔薇』のほうは、刑事が事件を目撃した薔薇の言葉がわかるようになって事件を解決するというもの。
まあ、言ってしまえば『三毛猫ホームズ』の難易度をさらに下げたような短編。このバリエーションは、そこそこ見かけるね。
事件がけっこうわかりやすいので、本格ミステリ度は低め。刑事もの+αといったところでしょうか。

『つめたい転校生』はといえば、これは北山先生お得意の物理トリックが使われているので、ミステリ好きはちょっとニヤリと出来るかもしれない。
この作品の設定でなければ成立しない物理トリックなので、ネタのわかりやすさ云々はさておき、個人的にけっこう楽しめた。

内容も、ある程度こういった作品を読みなれている人ならオチまで透き通るように見通せるものの、ラストはなかなかにグッと来る。
人と人ではないものの恋愛と青春ものが好きな方なら楽しめるでしょう。


北山猛邦作品には、やはりミステリを期待しているせいか、やや満足度は低めな内容だったかな。つまらなくはないが、絶賛は出来ない。
北山作品のいつもの雰囲気や文体は健在なので、読みやすいのはよかったかな。

やはり、北山猛邦といえばミステリを期待しちゃうので、早く城シリーズや少年検閲官の続きが読みたいよなあ。
『石球城』『オルゴーリェンヌ』の刊行を楽しみにしています。

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『感想リンク』
北山猛邦:『少年検閲官』
北山猛邦:『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』
北山猛邦:『ダンガンロンパ霧切』
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