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『消えちゃえばいいのに』和智正喜

ラノベ感想
02 /29 2012
消えちゃえばいいのに (富士見ファンタジア文庫)消えちゃえばいいのに (富士見ファンタジア文庫)
(2012/02/18)
和智 正喜

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富士見ファンタジア文庫、最大の問題作の名に恥じぬ出来。
久しぶりに、とがりにとがってとんがった作品を読んでしまった。

ライトノベルの魅力のひとつに、一部分さえ面白ければほかはどうでもよいという、ワンパンチの衝撃があると思っている。
文章が壊滅的でも、展開が面白ければいい。
設定が支離滅裂でも、よくわからない感動さえ味わえればいい。
説明不足でも、内容が面白ければいい。
などなどなど。ひとつの要素に特化していれば、それですべてが許されるような土壌ができあがっている。

本作も、まったく話しに納得できないものの、オチのインパクトだけはずば抜けていた。
正直な話し、このオチが気に入るかどうかで評価が真っ二つにわかれる作品だと思う。
なにせ、内容が
・説明がなく死神が出てくる。
・主人公のある設定に関しての説明がない。
・文章の視点人物がたびたび入れ替わる。
・文章が突然途切れる。
などと、非常に読みづらいものになっている。

どれも、作中の仕掛けを生かすために用意されたことは理解できるが、ちょっと立ち読みしただけでとっつきづらいことがすぐにわかる。
内容もとても不条理であり、登場人物の行動の意味がまったく理解できず、作者にも説明する意思がないような、突き放したものを感じた。
お話に整合性や伏線を求めて読んでいる身としては、結末直前の数ページまで評価は『×』だった。
最後まで読まずに投げ出してしまおうか。そう思ったとき、その結末。
ラストに待ち受けていた、とある衝撃。それを見たとたん、評価が『●(マイナスと隣り合わせの好評価)』へと一気に変化した。

なるほど。読み終えてしまえば、ある意味ではごくごく真っ当なライトノベルだった。
テーマだと思う(※ネタバレなので伏字)『喪失の発見』と『獲得のための犠牲』(※ネタバレ終わり)と関係した展開は、たしかに王道だ。
その王道を、ここまでへんてこりんな形にぬりかためてしまうとは。いやはや、驚いた。

決して人にはオススメできず、整合性・萌え・爽快感・爽やかさなどを求める人にも、まったく不向きな作品。
それでも、ライトノベルにときどき存在する、結末のカタルシスにかけては、間違いなく本作は際立っていた。

いやあ、こういう作品にポンと出会えちゃうから、ライトノベルって大好き。
味わいはまーったく違うんだけど、読み終えたときの妙なカタルシスという点では『絶望系 閉じられた世界』や『ぷりるん』にも似ていたかなあ?
(これらの作品を読んだことがある人なら、『消えちゃえばいいのに』がどれだけとがっているか、わずかなりとも理解してもらえるだろう)

平均点の優等生ではなく、一芸に秀でた問題児といった作品を求めている人だけが読んでください。
オススメはできないけど、気に入った人には、いつまでも印象に残るくらいの衝撃はあります。

『余談』
・仮タイトルは『みんな死んじゃえばいいのに』だったらしい。個人的には、そっちのほうが好きだなあ。
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