ラノベ感想:『86―エイティシックス―』「第23回電撃小説大賞、大賞受賞作品。断絶と言ってもよいほどのすれ違い描写が秀逸な大賞受賞も納得な傑作メカアクション」



電撃文庫、安里アサト著『86―エイティシックス―』読了。
第23回電撃小説大賞、大賞受賞作

これはもう、大賞受賞も納得の作品。面白かった部分をあげると切りがない。

洗濯機すらない最前線の基地と恵まれた都市の関係。
住む場所は違えどもお互いに同じものを見ることが出来るという中盤のリリカルな要素、そしてそれらを吹き飛ばす絶望的な戦いと、どこからどこまでも大好き。

設定部分や展開についてもそうだけど、何より見せ方がとても上手い。
戦場の最前線にいる主人公たちの部隊と、都市部にいる司令官のヒロイン。
新任のヒロインは知覚同調(パラレイド)という五感同調型の技術で言葉をかわし、住む場所も境遇も違う部下たちとの関係を深めていく。

もう、この知覚同調の設定とボーイ・ミーツ・ガールを組み合わせたのが最高。
人権を剥奪され戦場に送り出される有色人種たちと、都市部で暮らす特権階級たちという立場的・物理的距離をゼロにする設定なのに、根本的なところではけっきょく同じ土俵に立てていないというすれ違い。

ボーイ・ミーツ・ガールに限らず、古くから恋愛ものではすれ違いは大きなキーワードになっているものの、このすれ違いの大きさはすさまじい。

この手の境遇差ものの展開ではお馴染みなんだけど、ヒロインは被差別者である主人公たちに同情的であり、なんとか彼らの境遇を向上させようとしている。
しかしそんな彼女も、結局のところ根本では他の者たちと何も変わらないと気づかせるシーンには身震いした。

これは戦争ものだから出切るネタだなあ。
読者も気づかないほど些細なことで決して埋められない断絶を見せている。

それ以外にも主人公たちの乗る多脚戦車のアクションシーンも魅力的だし、あっけないほどの短い描写ですまされるアレなど、
(特に122Pと194~202Pあたり)
展開のひとつひとつが大絶賛なんだけど、細かいことを書くとネタバレになるので何も書けない。
これはもう、読んでくれとしか言えない。

完全無欠に綺麗に完結しているものの、2巻(上巻)はもう出てるんだよな。
下巻が出たら一緒に一気に読んじゃいます。
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