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ラノベ感想:『賭博師は祈らない』「第23回電撃小説大賞、金賞受賞作。18世紀末のイギリス描写がとても丁寧なギャンブルサスペンス」

ラノベ感想
10 /29 2017

電撃文庫、周藤蓮著『賭博師は祈らない』読了。
第23回電撃小説大賞、金賞受賞作品。

これは面白かったなー。それだけに、宣伝の仕方に疑問が残る。
奴隷ヒロインという売り文句ははっきり言っていらない。
ギャンブルサスペンスとして、そして何より、歴史ものとしてとても面白かった。

タイトルからもわかるようにギャンブルものではあるんだけど、それよりなにより(作者いわく)歴史系フィクションとしての色合いがとても強い。

18世紀末のイギリスを舞台にしてファンタジー設定を用いず主人公の度胸と機転だけで事態を解決していくという、電撃文庫でいうところの『狼と香辛料』ポジションな作品。

こう紹介することからもわかるように、本作もまた描写がとても上手い。
18世紀末のイギリスという、ライトノベルではあまり見かけない世界を丁寧に描いていた。

産業革命直後というこの時代はスチームパンクではお馴染みなものの、特殊設定を使わないのはこの手の作品にしてはとても珍しい。

これがもう百年経てば切り裂きジャックの時代でフィクションお馴染みの舞台となり、もう百年前なら清教徒革命などで本の主題になることも多いのだが、上手いこと隙間をついてきたなといったところ。

実際のところ、ファンタジー設定が何もないため半分くらいは奴隷のヒロインとの交流やロンドン見学にページが割かれるのだが、200P以上も日常描写が続くのに飽きさせないのは作者の力量でしょう。

とくに時代考証が丁寧なところが気に入った。
自分も趣味でこの時代(よりは少し前後するが)のイギリス関連の本は何冊か読んでいるのだが、娯楽として扱われる闘鶏や熊苛めからジン横丁、アヘンチンキに紳士の傘事情などこの時代のあれこれを知っているとうんうんと頷けるような描写が多々出てくる。

正直なところ、自分はこれらの描写だけで作者買いできる人になると確信できた。
奴隷ヒロインという売り文句はキャッチャーではあるものの、個人的にはこういった地味ながら丁寧な描写のほうを売りにして欲しいとまで思ったほどだ。

ヒロインが完全なる被保護者であり、いわゆる囚われのお姫様ポジション以上の何者でもなかったのはちょいと気になったものの、この雰囲気を描けるのなら今後作家買いも出来る人だね。

2巻ももう買ってあるので、とっとと続きを読んじゃいます。

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感想リンク。
『賭博師は祈らない』3巻。
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fujimiti