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雑記:「アニメにおける異世界転生ものブームという間違いについての指摘」

雑記
11 /22 2017
タイトルは半分釣りです。
副題を記すならば「異世界転生ものと社会反映論を結びつけたあやまちについての指摘」となる。

事の発端は、ツイッターで雑な社会反映論を目にしたから。
某氏いわく、異世界転生ものが流行しているのは現実がつまらないからだというのだが、これはさまざまな意味で大間違いだと言おう。


前提条件から話そう。
社会反映論とは、娯楽の流行と社会の変化を結びつけたものだ。
(例:90年代は世紀末のため終末思想の作品が増えたなど)

これは洋画の評論ではよく使われるもので、近年でも『スター・ウォーズ』や『ザ・ウォーカー』などの洋画の主人公が黒人であることとオバマ元大統領を関連づけた寸評がいくつか書かれたものだ。

しかし、これらの評はどれもが牽強付会の域を出ず、乱暴な言葉を使えば読むに値しない文章だと言い切れる。(理由は後述する)

このような誤った論調は洋画だけに留まることではなく、今現在のアニメ界隈、とくに異世界ものについても同じように広まっている。


改めて書くが、昨今では異世界転生ものブームであるという言説がまかり通っているものの、それは間違いである。
たしかに、一部の側面では正しい。しかしそれは、別の側面から見れば正しくはない。
異世界転生ものというジャンルは、現代に数ある多くのブームのひとつでしかないからだ。

そもそもにして、ブームとは本来その時代にたったひとつということは珍しく、あるものが流行っている裏ではまた別の違う流行が存在する。

90年代のゲームを例にしてみよう。
90年代はポケモンの影響により、GBにおいて一作品二種類のゲームが雨後の筍のごとく大量に現れた。
(例:『メダロット』『ロボットポンコッツ』など)

またこの時代はたまごっちやデジモンなど、子供から一般にまで小型の携帯ゲームが大量に出回ることになる。
これらはどちらも携帯ゲームなので、年表でしか当時の事情を知らない人は思わず90年代は携帯ゲームブームと言いたくなるものだが、それは違う。

90年代はそれと同時に、プレイステーションやセガサターンなどの高スペックハードを中心にした3Dゲームの黎明期でもあったからだ。
(例:『バーチャファイター』『ファイナルファンタジーⅦ』など)

当時はまだ画質の荒かった携帯ゲームと、時代の最先端である3Dゲームが同時にブームになっていたというと何も知らない人は首をかしげそうなものだが、事実として、両者は平行してゲーム業界を盛り上げていた。
特に『ポケットモンスター』と『ファイナルファンタジーⅦ』はどちらも同じRPGというジャンルに関わらずだ。

このように、たとえ娯楽媒体やジャンルが同じだとしても、流行とはひとつとは限らない。
ましてや現代は流行り廃りの移り変わりが早く、一年もしないうちにくるくるとブームが入れ替わるからだ。

現在における異世界転生ものブームという話題もまた、これと同じ道をたどっているように自分は感じている。
たしかにこのジャンルは流行ってはいるが、それはあくまでも小説という大きな娯楽市場の一角を担うライトノベル界隈のさらに一部という、ごくごく狭い範囲でしかない。

アニメ全般においてはとてもブームと呼べるほどのものではなく、ましてや社会反映論にまで話を広げるのは勇み足というものだろう。


実際に2010年~2015年のアニメの売り上げをまとめたサイトがこちらである。
(参考リンク:マンガ予約発売日 2010年以降にDVD,BDが1万枚以上売り上げたアニメランキングから見えるおすすめ作品

その中から1万枚以上売れた異世界もの(転生・トリップ含む)をまとめてみると、このようになる。

(上記リンクサイトからの引用)

・2012年夏 ソードアート・オンライン 45,372
・2013年春 はたらく魔王さま! 15,031 (※下記の注釈参照)
・2015年夏 オーバーロード 13,401
・2015年冬 この素晴らしい世界に祝福を! 12,747
・2014年春 ノーゲーム・ノーライフ 10,573
・2012年夏 DOG DAYS’ 10,520
・2011年春 DOG DAYS 10,304

(※ 『はたらく魔王さま!』は主人公が異世界からやってくる逆異世界ものだが含めている)

と、100を超える作品の中でわずか7作品しかない。
試しに2016年の作品を加えてみたところで、そこに増えるのは
(参考リンク:アニメDVD・BD売り上げ一覧表まとめWiki より引用)

(秋) 11,067 DRIFTERS
(春) 10,383 Re:ゼロから始める異世界生活

の2作品だけだ。(※ 『この素晴らしい世界に祝福を! 』は重複していたので省いた)

このデータを見るに、異世界ものはアニメにおいても大流行とはとても呼べないものとなっている。
仮に社会反映論を語りたいのであるならば、異世界をジャンルにした作品よりも相応しい題材があるだろう。

なぜなら、現在の深夜アニメにおける流行には異世界転生ものというジャンル以外にも、ファンタジー要素を用いないアイドルものや日常もの、そしていわゆる『まどマギ』以降の萌え絵でハードな展開という作品が数多く存在するからだ。

もし本当に社会反映論
――それらのジャンルが流行るのは社会がそのような状況であるから、つまり、異世界召喚ものが流行なのは現実のつまらなさの反映という理論――
が正しいとするならば、現実を中心にしたアイドルものや日常ものが流行る理由にはならない。
異世界転生ものという小さな流行を題材にして社会反映論を語るのはナンセンスといわざるを得ない。


まとめよう。
・異世界転生ブームは間違いではないが、アニメや漫画、映画、ゲーム、小説などいわゆるオタク向け娯楽全体がそうなっているわけではない。
・異世界転生は現代にある多くのブームのひとつでしかない。
・ゆえに、社会反映論(現実はつまらなく異世界に癒しを求めている)という解釈は間違っている。

というのが、今回の文章の趣旨である。

最後に私見を述べる。
そもそもにして、異世界まで話を広げずとも娯楽とはスポーツだろうがレジャーだろうが読書だろうがゲームだろうが、すべては非日常を楽しむものである。(いわゆる、ハレとケ)

そのことを理解していれば、異世界転生ものが特殊であるという考えもなくなるし、これが今の閉塞した社会を反映したものであるという的外れな意見も思い浮かばなくなるだろう。

異世界転生ものというジャンルは古くからある王道ネタのひとつであり、いまはただ、そのジャンルがたまたま流行の兆しを見せているというだけだ。


まだ話は途中なのだが、長くなったので今回はひとまずここで区切る。
後日に異世界ものとパロディ文化についての雑感を書く予定です。


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関連リンク。
雑記:「雑な若者の活字離れとラノベの流行の話が目に入ったのでちょっと突っ込んでみる」
雑記:「異世界転生ものとパロディ文化についての私見」
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