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ラノベ感想:『始まりの魔法使い』「異世界転生ネタの扱いが上手い竜と少女のラブロマンスファンタジー」

ラノベ感想
03 /04 2018

富士見ファンタジア文庫、石之宮カント著『始まりの魔法使い』読了。
うむ、面白かった。
異世界転生ネタを上手く扱っていたね。

ファンタジー設定の扱いが上手い。
異種族たちが本当に異種族らしい思考を垣間見せているところがとても面白かった。

エルフたちは森に住んでいるため落ちた枝にも専門の語句があるなど語彙の違いを描くのもそうだけど、人間との感覚の違いが気に入った。

エルフたちは人間を蔑んではいないんだけど人間と家畜の区別があまりついておらず命の重さへの認識が違う。
そのことを

「人間だって犬や猫に去勢や不妊手術を施して良い飼い主だと思うものだ」

と現代人の知識で説明する。
こういうわかりやすいたとえを使えるのは異世界転生ものの利点だね。

あとはネタバレで感想書くので折りたたむ。
3巻が発売したばかりなので続きも読みますか。



んで、こっからはネタバレ。1巻部分の結末に触れるので注意ね。


この作品はいわゆる異世界転生ものなんだけど、転生ネタを発端だけではなく結末に関わる部分にも使っているところが気に入った。

この手のネタは「主人公の天才性の説明」やら「説明の手間を省くため」に使われることが多いのだが、
(※ 前に書いた「異世界転生ものとパロディ文化についての私見」を参照)
この作品ではそれ以外にも転生ネタを活用している。

この作品は1巻の結末でヒロインのひとりであるアイが天寿を全うする。
不老不死に近い竜である主人公と人間のヒロインとのラブストーリーにおいて寿命の差はいかんともしがたいものである。
過去にもこの手の寿命の違いによる悲恋は何度も描かれてきたのだが、この作品はここからが本番。

ふたりは死別してしまうのだが、主人公が異世界に転生したのだからアイもまた転生するだろうと再会を誓うからだ。
これは異世界転生ものの上手い使い方でしょう。

主人公は実際に異世界に転生した。ならば、アイだって同じことができるはずだ。
それに、いま主人公がいるこの世界は「そうだ」と認識すれば魔法として形になる。
ジャック・フロストが現れたように死後の世界が生み出され、転生して再会できると信じれば再会できるはずだ。

そういった希望を最後に残し、冒頭ではハッピーエンドも約束されているなど褒め言葉として
「ストレスのない娯楽作品」
と呼んで良いでしょう。

この「ストレスのない」という言葉は最近では蔑称に使われることはあるものの、この作品のように
「そこに至るまでの過程がどうなるのか?」
が気になる作品の場合は褒め言葉として使っても良いと思うね。

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