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『火の国、風の国物語』師走トオル

ラノベ感想
07 /15 2012
火の国、風の国物語―戦竜在野 (富士見ファンタジア文庫)火の国、風の国物語―戦竜在野 (富士見ファンタジア文庫)
(2007/10)
師走 トオル

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『火の国、風の国物語』を読みおえる。
傑作ファンタジー小説!
剣と魔法と貴族など、これでもかと王道王道しているファンタジー世界が舞台の英雄譚。

最強系主人公な作品なのに、主人公のアレスがとても魅力的。
とある理由から普通の人よりも強くなっているアレスは、人を殺すことに長けすぎているゆえに、左手で剣を握った時は誰も殺さない。
それがひとたび右手で剣を握ると、まばたきする間に相手を切り伏せているなど、ケレン味溢れる設定が非常にカッコイイ。

一歩間違えると、こういう甘い考えの主人公というのはマイナス評価になりそうなんだけど、アレスは殺すときは躊躇なく殺すうえに、十八歳という若さのため、感情むき出しになることも多々ある。
貴族であるがゆえに、同じ貴族の悪行には人一倍怒り、そのさいの対応が説得でもなんでもなく、嫌悪感を隠さずに相手を侮蔑するので、昼行灯主人公に嫌気が差している身としては非常に痛快だった。
こうやって、強いだけじゃなくて人間味に溢れている部分を出すので、アレスという主人公がそれだけで好きになってしまう。

アレスを取り巻く面々も、無骨なドワーフの従者に、勝気な妹、ツンデレ姫様に、口が達者な優男の副官と、彩り豊かに揃っている。
こいつらもまた魅力的なんだけど、1巻ではまだ出番は少なめ。ほぼ、アレスの紹介が中心だったかな?

アレスの最強っぷりが魅力のひとつではあるんだけど、戦闘は軍と軍、多数対多数で展開される。
アレスたちが中心なのは当然なんだけど、彼は将軍などではなく、あくまでも一部隊の指揮官でしかない。
それゆえに、不利な戦いを強いられるし、周囲からのやっかみも強い。

その軍対軍の戦いにおける本書最大の見せ場は、三倍以上の敵の軍に立ち向かうアレスたちベールセール王国軍と、農民たちが集まった反乱軍の戦いだろう。
敵陣の只中に飛び込み、剣を振るい、敵をなぎ倒していく様など、これで興奮せずして、何に興奮しろという! と、手放しで絶賛できるほどに、血湧き、肉踊る圧倒的な活劇だった。

英雄の活躍だけを見せるに留めず、敗残兵の視点も出して英雄の恐ろしさを描くことも忘れていない。
これのおかげで、戦場での戦いの熾烈さや、人間と人間が戦っていることを改めて確認できるようになっていた。
作品世界に深みが生まれる、上手い見せ方だったね。

ただ気になったことは、魔法の存在。
最後のほうで、大人数の兵隊を足止めするほどの魔法が出てきたのに、その存在に誰もが驚いていたのがちょっと気になった。
それだけ強い魔法が存在するような世界なら、戦争に使ったりするために、国は研究しているだろうに。
その点にまったく触れられず、まるで天災のような扱いをしていたのには違和感が残る。
今回はまだ1巻なので、いずれ説明があるのかもしれないが、やはり気になるところ。
この部分だけが、数少ないマイナスポイントだったかな?

よくありそうな『剣と魔法のファンタジー』を成立させるために、軍隊や軍馬を維持するために必要な設定が細かく描写されるなど、とてもリアリティに満ち溢れた作品。
敵の反乱軍も貴族に反抗する農民たちなので、これから深く描写されそう。そちらにも期待大だね。
何よりもアレスという英雄がさらなる活躍を見せる物語になるだろうからして、続きが非常に楽しみなシリーズです。

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感想リンク。
『火の国、風の国物語』2巻、3巻。感想。
『火の国、風の国物語』4巻、5巻。感想。
『火の国、風の国物語』6巻、7巻。感想。
『火の国、風の国物語』8巻、9巻。感想。
『火の国、風の国物語』10巻、11巻。感想。
『火の国、風の国物語』12巻、13巻感想。
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