FC2ブログ

『シャロン―死者は神を語らない』感想。

ラノベ感想
01 /22 2013
シャロン―死者は神を語らない (メディアワークス文庫)シャロン―死者は神を語らない (メディアワークス文庫)
(2012/03/24)
田名部 宗司

商品詳細を見る

積んでいる本を崩し中。最近は読書を怠けていたので、一冊でほどよく終わっている作品を読みたいと本棚を物色。
で、白羽の矢が立ったのがこれ。MW文庫の作品です。『幕末魔法士』の人だからと買ったものだけど、面白かったです。

MW文庫って、重すぎず軽すぎずというバランスが好みなんだよなあ。電撃文庫と、よい感じに住み分けが出来ているよね。
この『シャロン』みたいに、文章がしっかりしていて、ややライトノベル寄りの特殊な設定がある作品っていうバランスがMW文庫の持ち味だよね。ライトノベルレーベルだと、軽いものにしても濃厚なものにしても、尖っている作品が多いから。それが魅力ではあるんだけど、たまには口当たりの軽いものも読みたくなるというもの。

この人の作品も、上手いぐあいに電撃文庫とMW文庫で味わいを変えている。
デビュー作の『幕末魔法士』がちゃんと少年漫画していたとしたら、こっちの『シャロン』はそれよりやや年齢層が高め。
ハッピーエンドと手放しで喜べない展開だし、女装メイドはべらせて喜ぶ変態さんが出ていたりな上に、全体的に事件が陰鬱。主人公の目的も、復讐っぽいしね。
まあ年齢層が高めと言っても、中学生以上向けか、高校生以上向けってくらいの内容なので、基本は片肘張らずに読めるエンタメなんだけど。それでも、味わいが違うのはたしかでしょう。
 
お話が少年漫画的な活劇ではなく、ハードボイルド探偵ものと、ダークヒーローを混ぜた感じだったからなあ。やや王道とは外れた物語だけど、この雰囲気は好み。
『幕末魔法士』も、時代物というライトノベルではニッチな設定で攻めてきたと思ったけど、今回も19世紀のパリとかなりニッチ。
これが19世紀末~20世紀初頭のロンドンとかだと、ちょうど切り裂きジャックやらホームズやらで舞台に使う作家が多いんだけどね。

話がちょっとそれるけど、ミステリというジャンルはとても懐が深いものである。
謎を中心とした『本格ミステリ』や、事件や時代性を中心とした『社会派』。それ以外にも、レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウものに代表される『ハードボイルド』など、さまざまなジャンルがある。

このハードボイルド。名前だけは耳にしたことはあっても、じっさい読んでいる人はどれくらいるんでしょう?
日本での人気も、若い人の知名度もどれくらいあるかは知らないが、要するに探偵が足を使って事件を探って、ときにアクションあり、ロマンスあり、暗い展開ありで、最後には事件を解決するって内容。
基本はエンターテイメントなんだけど、そこまで万々歳で終われないというのが、ハードボイルドものの面白さだろうな。……と、あまり読んでいない人間が言ってみる。

この『シャロン』も、ジャンルとしてはハードボイルドものだね。
主人公には独自の目的があって、それに関係した仕事をしている。探偵じゃなくて、遺体修復師ってところが特徴か。
あまり褒められないヤクザな仕事であり、時には犯罪まがいなことをするところもハードボイルドな探偵と同じ。もちろん、ロマンス(というより、ラブコメ)もあり。

そういった、王道的ハードボイルドな設定に加えて、ライトノベル的なダークヒーローものを混ぜたのが本作品か。
このダークヒーローとしての主人公の特殊設定が、じつにライトノベル的なケレン味に溢れていたな。くわしくは、ネタバレ(というほどでもないが)なので割愛します。

このあたりは、混ぜて正解という人と、混ぜずに通したほうがいいという意見でわかれそうなところかなあ。
個人的には、混ぜないでもこの作者ならお話を作れたと思うけど、それによってアクション部分が多くなったので悪くはないと思う。

自分がMW文庫で読みたかったような作品だったので、けっこう気に入ったかな。
調べてみると、2巻で出ているようなのでこんど買ってきます。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

fujimiti