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『クロックワーク・プラネット』感想。

ラノベ感想
04 /16 2013

『ノーゲーム・ノーライフ』の榎宮祐先生と暇奈椿先生の合作で送る、とんでもなく面白いSF小説。

おい、なんだよこれ!
帯とか紹介では『ファンタジー』とか書かれているけど、とんでもない!
こいつは、根っからのSFだってばよ!

地球の寿命が尽きてから千年後の世界。その星ではいま、エネルギーはすべて歯車によって生み出されている。
何億……何兆……と、数え切れないほどの数の歯車を使う世界では、重力や気温すらも歯車によって支配されていた。
物理法則すら操ることが出来る機械仕掛けの世界では、人間そっくりな自動人形、つまりはロボットも作リ出すことが可能となっている。

そんな、歯車によってすべてが回る世界で、少年は世界最高峰の自動人形の少女と出会う……っておい!
これ、どう考えても、SFじゃねえーかよ!

いわゆる、『クロック・パンク』ってやつだね。IT技術ではなく、別の技術体系によって世の中が回っている世界ってやつ。
現代的なコンピューターではなく、蒸気機関が発達した世界での物語は、『スチーム・パンク』というジャンルを作っているけど、それとクロック・パンクも似たようなもの。
そこでは、歯車やゼンマイの技術が発達して、世界を動かしている。

この作品も、その単語を知ってるなら、どー考えてもクロック・パンクなハードSFでしかないね。
重力を制御しているのは億兆を越える数の歯車であり、気候制御も同じこと。すべては、人間によって生み出されたものだ。

そんなひとりの天才が人工的に作り出した世界だからこそ、千年も時間が経過すればそこかしこでガタが生まれてしまう。
いつ滅亡するかもわからない世界で、地球を修理しようとする時計技師と、ロストテクノロジーの主となった主人公が出会う。とかね。

この、SFイマジネーションはすげえなあ。
歯車による地球の制御という、出来る、出来ない、じゃなくて、『出来そう』と、読者に納得させるだけの力量はお見事。

ライトノベルだと、『円環少女』も世界に干渉するほどの技術体系が発達して、魔法とも科学ともつかない状態になっていたけど、
(物の回転が勝手に止まる世界だから、人は回転を制御する力を身につけたとか、凄すぎだよね、あれ)
これもとんでもない。
発達した科学は、魔法と区別が付かないとはこのことか。

SFってのは『納得できるホラ話』とはよく言ったもので、もうこのワクワク感だけで完敗ですよ。
ロボットや宇宙空間やらタイムマシンが出るからSFなのではなく、センス・オブ・ワンダーがあるからこそSFであると、思い知らされるような内容でしたとも。

SF設定もさることながら、ボーイ・ミーツ・ガールとしても見事。
機械しか愛せないナオトだからこそ、いまの技術では作れない完璧な自動人形のリューズに惚れ込むなど、どちらもお互いがお互いを必要としている存在と出会うって部分が、王道ながらじつに心地よい。

上記の設定をチラ見して、ビビッと来た人はもう速攻読んじゃってください。間違いなく読んで満足できる内容となっていますから。
榎宮先生らしい、どこかぶっ壊れた性格をした能力特化主人公も魅力だけど、
(あの、『ノーゲーム・ノーライフ』の『 』コンビを思い出させる主人公でした)
ごくまっとうな秀才系天才型なサブヒロインのマリーも魅力的だよなあ。

あとがきでも書かれているけど、この特化型主人公のナオトは榎宮先生の天才観で、もうひとりのマリーは暇奈先生の天才観なんだろうな。

能力もあって野望もあるけど、さまざまな事情によって実力を発揮できないでいるマリー。
そんなときに、ナオトという新しい歯車と出会い、ガチリと能力が組み合ったときに初めて野望が実行できるようになるとかね。

ナオトとリューズという、人間と自動人形のボーイ・ミーツ・ガールに加えて、人間同士のボーイ・ミーツ・ガールによって世界を変えていく物語に発展するなど、一冊にどんだけ展開山盛りなんだよ!
それでいて、ちゃんと1巻でもある程度は完結しているとか、本当にもう、ただただ脱帽しか出来ない面白さでしたよ。

余談になりますが、
『機械を愛することが出来る少年が、オーバーテクノロジーなロボットの主になるボーイ・ミーツ・ガール』
というと、『BEATLESS』という作品が存在します。
こちらもSF&ボーイ・ミーツ・ガールとして驚天動地の大傑作であるので、この作品が気に入った人は、ぜひともオススメしますよ。

ここ最近、『BEATLESS』にこれにと、お気に入りなロボットものSF小説が多くて嬉しい悲鳴ですよ。
『ノーゲーム・ノーライフ』の1巻を読んだときと同じように、間違いなく傑作に成り得る魅力を備えた作品でしたね。

『クロックワーク・プラネット』といい『ノーゲーム・ノーライフ』といい、続きが楽しみすぎる。
というか、榎宮祐先生は同時期にこんなに面白い作品を用意できるなんて、どんな化け物ですか。
どっちの続きも、早く読みたーい!

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感想リンク。
『クロックワーク・プラネット』2巻
『クロックワーク・プラネット』3巻

『ノーゲーム・ノーライフ』1巻
『ノーゲーム・ノーライフ』2巻
『ノーゲーム・ノーライフ』3巻
『ノーゲーム・ノーライフ』4巻
『ノーゲーム・ノーライフ』5巻
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 雑感。
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 感想。
『ノーゲーム・ノーライフ』7巻

・ライトノベル感想:榎宮祐作品は人間賛歌だ!

『BEATLESS』感想。+ジャンルを『終わらせた作品』について。
『BEATLESS』感想。(ネタバレなしの作品紹介)
『びーとれすっ』感想。
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・アナログハックと『ターミネーター』について。
『BEATLESS』感想。ライトノベルとしての面白さ。
『BEATLESS』感想。(ネタバレあり)

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長谷 敏司

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