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『ノーゲーム・ノーライフ』4巻 感想。

ラノベ感想
07 /09 2013

対戦相手を騙し、読者をことごとくまで騙してくれるファンタジーゲーム小説第4巻。
相変わらず、鼻血が出るほど面白い!(性的興奮のためではない)

今回は水着回! と思わせておいて、いつもの『ノーゲーム~』!
バカげた日常の中に重要なヒントを隠しつつ、少しずつ世界の設定を明かしていくお馴染みのあれです。
これのおかげで、飽きることなく最後まで読み進められるんだよね。

というか、今回も飽きる余裕がないほど、展開がミッチミッチ! 
いの(狼爺さん)の筋肉もミッチミチだよ!
いのさん、今回一番めだってたってどういうことなん?

さて感想。
前回の3巻までで、世界を手に入れるための必要最低限の駒は手に入ったと書かれていた。その理由の一端は、今回の内容で少しはわかったかな。

生物最強の身体能力を持つ獣人種(ワービースト)と、魔法に長け、普通の生物では勝てない力を持つ天翼種(フリューゲル)に加えて、森精種(エルフ)にスパイまで送り込んでいるのが現状です。

獣人種は相手の心音などから嘘を見抜く力があり、単純に強力な力を持つ天翼種のジブリールがいれば、多少の困難な状況や魔法を利用したゲームにも勝つことが出来る。ということなんでしょう。

今回も、そんなジブリールの無茶っぷりがかなり炸裂していたかな。
114Pでは、
「6位以上は、生物ではない」
とか言っちゃってるし。
(妊娠も自由自在だよ!)

そういうこともあり、今回は敵の役者がやや不足していたと思わないでもない。
3巻までの、絶対に勝てない相手という圧倒的な絶望感には欠けていたかな。

しかし、そこはさすがの榎宮祐、敵がややふがいないときは別の場所で楽しませてくれる。
今回はそれが、3巻でも見せた『みんななかよく』ゲームをするということと、謎解き部分に集中していたかな。

この作品って、3巻までの展開を見てもわかるけど、じつにミステリ的なお話作りをしているよね。
具体的に言えば、『読者をだます』ことに腐心している。

ミステリを読んでいる人ならわかるだろうけど、ミステリ小説ってのは、作者はことごとくまで読者を騙そうとしているものなんですよ。

読者が「こう考えるだろう」という道筋を想定しては、本来の道とはまったく別の場所に案内する。
いわゆる。ミスリードというやつだね。

今回も、それがじつに上手く、そして見事に発揮されていたことは、読んだ人ならば誰もが納得するところでしょう。
これは、ユーモアミステリでも使われている手法だよなあ。とか、思ったりなんだり。

当然のごとく、今回も大大大満足。
次の巻に続くような盛り上がりに加えて、作中での盛り上がりにと、この作品はどこまでも楽しませてくれるのよ。
作者の体調を心配しながらも、続きが楽しみでならない一冊です。

――――――――――――
感想リンク
『ノーゲーム・ノーライフ』1巻
『ノーゲーム・ノーライフ』2巻
『ノーゲーム・ノーライフ』3巻
『ノーゲーム・ノーライフ』5巻
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 雑感。
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 感想。
『ノーゲーム・ノーライフ』7巻

『ノーゲーム・ノーライフ』16種族についてのメモ。
・ライトノベル感想:榎宮祐作品は人間賛歌だ!

ネタバレなしでは語れそうもないので、本作の面白かったところをネタバレ全開で書いてみますか。
以下、折りたたみ。

(※ 以下、『ノーゲーム・ノーライフ』4巻のネタバレが含まれていますので、未読の方はご注意ください。 ※)


今回も、2、3巻と同じように次回へ続く構成になっています。
お話の内容自体は、いつものように主催者が有利なゲームに挑戦するというものなのですが、さまざまな思惑が絡んでいるためかやや複雑になっている。
なので、自分への確認の意味も込めて解説してみましょう。


・ゲームの概要。
『女王を惚れさせろ』という目的のリアル恋愛ゲームが、今回のゲームの表向きの内容です。
吸血種(ダンピール)と海棲種(セーレーン)は一蓮托生な状態にあり、海棲種の女王を目覚めさせなければ両方とも滅んでしまう。
そのため、女王を惚れさせて、彼女を目覚めさせるゲームを攻略しろ、というのが今回の目的です。

このゲームも、ある魔法の面白い解釈によって解決しているのですが、問題はそこではないでしょう。
空たちに教えられた目的は、『主催者側の用意した目的』であり、本来の目的とは異なっていた。
これが、今回の面白い部分であり、作者が用意した最大の騙しでしょう。

『ノーゲーム・ノーライフ』の面白さのひとつに、『ゲームの主催者になれる』というのがあります。
オリジナルなゲームをいくらでも作れるので、やろうと思えば攻略不可能なゲームを用意することも簡単に出来るということです。

この世界では、ゲームに負ければそれ相応の対価(対等だと認めれば、パンひとつと国を天秤に乗せることも出来る)が要求されるので、攻略出来ないゲームというのはそれだけで最大の防御となります。

いままでも、対戦相手が絶対的に有利なゲームというのは出てきましたが、攻略方法そのものを偽った今回の展開は、ゲーム小説としてさらなる高みに達したと言っても過言ではないでしょう。

一般的にゲーム題材にした小説や漫画というのは、主人公たちはあくまでも『プレイヤー』であり、『主催者』ではありません。
そのため、いくら登場人物たちが知恵をしぼったところで、考えるのは、

「どうやってゲームに勝つか?」「ルールの盲点は何か?」

といったことであり、

「主催者がこのゲームを用意した目的は何か?」

にまで考えが及ばないのが普通です。
(余談ですが、『カイジ』にあったティッシュペーパーのくじ引きなんかは、ちゃんとそこまで考えてありましたね)

『ノーゲーム・ノーライフ』では、用意されたゲームや、協力を持ちかけてきた相手の裏の事情にまで考えを及ぼさないと勝てないゲームです。

そんな条件で空たちが選んだ攻略方法は、ゲームの『外』の解決でした。
攻略不可能ならば、ゲームそのものを遊ばなければよいということです。
ゲームの『内側』の攻略と、『外側』の攻略を別に考えたメタ的な解決ですね。


・それぞれの思惑。
今回の白眉は、空が例えた『競馬』についてでしょう。
競馬とは、

(1):一番になる。

という、走者の目的(ゲーム)と、

(2):一位を予想する。

という、観客のゲームがあります。

海棲種は『女王を惚れさせた人を勝者とします』という、(1)のゲームを用意して、挑戦者を募りました。
(この場合、一番以外はビリと同じ敗者です)

一方、そのゲームに対して必勝法がある吸血種のプラムは、『海棲種と人類種のどちらが勝っても利益がある』という、(2)のゲームに挑戦しました。

この(2)のゲームには、海棲種も関わっています。
海棲種は、『最後に勝つのは女王(全員が目的を達成できない)』と判断して、(2)で女王が勝つ側に賭けています。
その勝利を絶対的なものにするために、勝利条件を偽ったのです。

どちらも『主催者側の目的』という、ゲームの内と外を意識していることがよくわかりますね。


まとめると、こうなります。

・『海棲種が用意したゲーム』(表向きに語られているルール)
勝利条件:女王を目覚めさせる。
勝負方法:女王を惚れさせる。
賞品:海棲種の資源。
海棲種の目的:偽りの条件に踊らされた種族を眷属にする。

・『女王が用意したゲーム』(本当のルール)
勝利条件:現在のところ不明。
勝負方法:現在のところ不明。
賞品:女王(海棲種)のすべて。
女王の目的:真実の愛を手に入れること。


わかりにくい人は、
『不思議のダンジョンがあって、それを目当てにやってくる人に偽物の地図を与える』
みたいに考えるといいかもしれません。

不思議のダンジョンにあるお宝を手に入れるためにやってきた相手を、海棲種が食い物にするということです。

海棲種は間違った情報をしか教えていないので、これに騙された吸血種がさらなる被害者を呼んできては、次々と被害者が増えていく……ということです。

これらの思惑を跳ね飛ばすために、空たちは

・獣人種による、相手の嘘を判断する力。
・物理法則すら超越する獣人種の『血壊』の力。
・ジブリールによる魔法の力。

を使い、さらに相手の裏をかきました。
(この裏をかくための伏線も非常に優れているのですが、本文230Pで解説されているために割愛します)
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