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北山猛邦『ダンガンロンパ霧切』感想。

ミステリ・SF感想
09 /20 2013
ダンガンロンパ霧切 1 (星海社FICTIONS)ダンガンロンパ霧切 1 (星海社FICTIONS)
(2013/09/13)
北山 猛邦、小松崎 類 他

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『ダンガンロンパ霧切』読了。
『ダンガンロンパ』のスピンオフ。中学一年生時代の霧切響子さんが登場する作品です。

とはいえ、本編の雰囲気とはまったく違う。
アニメしか見ていない乏しい知識だけど、『ダンガンロンパ』というよりもオーソドックスな(それも、メフィスト賞作家めいた)ミステリの雰囲気だったかな。


探偵が奇妙な館に呼び出されて、そこで殺人事件が起きる。
ミステリ好きなら、小説の中に登場した死体の数と同じくらい遭遇した展開だけど、この作品はちょっと他のものとは趣が違う。
殺人そのものがゲームとして用意されており、探偵に挑戦状を送ることまでルールに組み込まれているからだ。

このルールが、じつに面白い。
主催者は犯人に、場所も凶器もトリックもすべて用意してくれる。ただし、複雑な凶器やトリックだと、その分費用がかかる。

『凶器:金属バット』なら300万、『凶器:拳銃』なら1500万。
そして、『トリック:バラバラ殺人』なら8000万、『トリック:密室』なら、一億円といった具合だ。

こうやって、合計した費用に応じてそれ相応の探偵が呼ばれるという、まさに、犯人と探偵による推理ゲームになっている。
費用がかさめばかさむほどに、当然ながら優れた探偵が呼ばれてしまうこのルール。
この設定を生かすために、探偵を数値としてランク付けした『DSC(探偵図書館分類)』というのがまた面白い。

探偵が関わる事件を、

0:総合
1:宗教犯
2:国家犯
3:経済犯
4:自然犯
5:技術犯
6:風俗犯
7:芸術犯
8:自由犯
9:殺人犯

という九つに分類して(0はすべてを扱う探偵)、さらには、

943:殺人犯・密室・ランク3の探偵。
919:殺人犯・不可能犯・ランク9の探偵。

と、わかりやすく順位付けしているのには感心しちゃったよ。
こうやって探偵に社会的地位を与えるところなんか、清涼院流水のJDCを思い出してしまうね。
(そういえば、北山猛邦もメフィスト賞作家だったなあと読み終わってから思い出す)


ミステリとしてはどうでしょうか。
作中の謎はかなーりわかりやすいものの、悪くはないでしょう。
北山先生の短編(音野順シリーズね)を読んで満足できた人なら、楽しめそうなトリックです。
 
そういった、短編レベルのトリックに、主人公と霧切さんの関係、さらには前述したDSCというケレン味を加えて一本の長編にしたような感じですね。

内容の面白さうんぬんはさておき、こういった手法はいろいろと感銘を受けるなあ。
清涼院流水のころからだけど、メフィスト賞作家による探偵とライトノベルの融合というか、現代的なヒーロー像の探偵という試みはミステリ好きとしてかなり感心したよ。

『猫柳十一弦』シリーズが顕著だけど、北山先生は本当に探偵という存在へのアプローチが好きな人だなあ。
この作品でも、探偵への絶対的な憧れと、憧れだけではすまないという現実を見せて青春小説っぽくなっているし。

探偵がちゃんとした存在として認められており、その中の頂点である000(トリプルゼロ)の名探偵が実在する世界だからこそ、こうやって探偵への純粋な憧れを保つことが出来るんだろうな。
本格ミステリとしての難易度は低いものの、探偵小説としてこれからどういう方向に進むのかと、期待が膨らむスタートだった。


『ダンガンロンパ』ファンのみならず、探偵小説好きにはオススメできそうな作品ですね。
ラストが続刊確実ってな感じの引きだったので、続きも楽しみにしています。

――――
『感想リンク』
北山猛邦:『少年検閲官』
北山猛邦:『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』
北山猛邦:『人外境ロマンス』
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