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『ミステリ感想』:『ノックス・マシン』『双孔堂の殺人』『密室蒐集家』

ミステリ・SF感想
10 /16 2013
ノックス・マシンノックス・マシン
(2013/03/27)
法月 綸太郎

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双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社ノベルス)双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社ノベルス)
(2013/08/07)
周木 律

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密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)密室蒐集家 (ミステリー・リーグ)
(2012/10/18)
大山 誠一郎

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唐突ミステリ祭り。
積んでいたミステリを読み崩したので、軽い感想でも。

●『ノックス・マシン』法月綸太郎
ミステリでもあるけど、どちらかといえばSFよりの作品。

表題作の『ノックス・マシン』は、タイムスリップもの。
ノックスの十戒にある、
「中国人を登場させてはならない」
の非論理性はどうしたことか。という部分にひとつの解釈を与える作品。

オチは読みやすいものの、結末に至るまでの過程が面白い。
続編の『論理蒸発』はややとっちらかっていたかな。

『バベルの牢獄』は、じつにメタメタしたSF。
内容うんぬんではなく、解決した謎を実際に試してみたときに作者の苦労が忍ばれる作品。いやあ、ごくろうさまです。
(オチの意味がわからない人は、『本を閉じて』ゆっくりと考えてみましょう)

一番ミステリしていた『引き立て役倶楽部の陰謀』は中々の出来栄え。
ヴァン・ダインが死去した年と、アガサ・クリスティがとある作品を発表した年が同じであるという偶然の一致に着目した良作。


『引き立て~』を筆頭に、全体的にミステリマニアやSFマニアによる、マニアのための作品集といった趣。
正直なところ『引き立て~』なんかは、黄金時代(1930年前後)のミステリをまったく読んでいない人は楽しめるのだろうか?

自分は、作中に登場する引き立て役こと、ワトソン役の面々が出てくるミステリはそこそこ読んでいたのでけっこう楽しめたけど。
随所に忍ばせた小ネタに笑ったり(ドルリィ・レーンのような不届きものうんぬんとか)、メタ的な試みが含まれているなどかなり好きな一本かもしれない。

どう考えても楽しめる人が限定された作品集だったけど、たまにはこういうマニアックな本があってもいいよね。


●『双孔堂の殺人』周木律
第47回メフィスト賞受賞作家による第二作。『双孔堂の殺人』

正直なところ、今回はかなり微妙。
一作目の『眼球堂の殺人』は大掛かりなトリックでけっこう楽しめたのだが、今回は全体的にかなり小粒になっている。

前回同様、館の中で不可解な殺人が起きるのだが(というか、探偵が犯人として名乗り出ているんだけど)、本格ミステリをある程度読んでいる人ならわりとあっさりわかるトリックだと思う。
(少なくとも、新本格作家作品だけでもすぐに類似のトリックが三つは浮かんだかな?)

ただ、ダブル・トーラスにこれでもかとこだわったところは好み。
ミステリの評価のひとつである、テーマの使い方については中々のものだった。
前作の雰囲気が楽しめた人なら、今回のも間違いなく楽しめるでしょう。

そういったこともあり、デビュー作よりは評価が低くなったものの、次の作品も楽しみにして待てる作家ではある。
第三作も予定されているようなので、楽しみにしています。


●『密室蒐集家』大山誠一郎
『アルファベット・パズラーズ』などの大山誠一郎による、久しぶりの作品集。

謎がありました。それを解きました。
と、それだけしか内容がない、じつに本格ミステリの面白さと退屈さが合わさっている作品集。

個人的には、この謎以外に何もないという部分が大好きだし、そういうものを書ける作家を応援しているんだけど、ここまで謎しかないと間口が狭くなると思わなくもない。

探偵が正体不明の人物であり、謎を解く機械以上の役割を与えられていないことや、登場人物が限定されすぎていてフーダニットとしてほぼ機能していないところとか、小説としての面白さはほぼないからね。

とはいえ、謎そのものは悪くはない。
出来の差はあるものの、どれも一筋縄ではいかない密室の数々はお見事。
分かりやすいものや、実行不可能なトリックはあるものの、密室が大好きな人にはたまらないでしょう。

これを読むと、有栖川有栖先生が『マジックミラー』で書いた、四次元の密室という言葉を思い出しちゃうな。
アリバイトリックとは四次元(時間軸)の密室である。逆に言えば、密室ものでフーダニットを作ろうとすると、アリバイトリックに接近するということ。
あまりミステリを系統立てて読んでいないせいか、そういった基本的な部分を理解していなかったかもしれないな、自分。

オススメは『理由ありの密室』
犯人が密室を作った理由を九つに分類するなど、ミステリ好きにはとても楽しめる短編だった。
内容もロジックを中心とした推理になっているので、かなりの評価を与えてもよい一編でしょう。
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