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似鳥鶏『戦力外捜査官』『午後からはワニ日和』『ダチョウは軽車両に該当します』感想。

ミステリ・SF感想
10 /17 2013
戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出文庫)戦力外捜査官 姫デカ・海月千波 (河出文庫)
(2013/10/08)
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午後からはワニ日和 (文春文庫)午後からはワニ日和 (文春文庫)
(2012/03/09)
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ダチョウは軽車両に該当します (文春文庫)ダチョウは軽車両に該当します (文春文庫)
(2013/06/07)
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『理由あって冬に出る』でデビューした作者による諸作品。

『戦力外~』は漫画調の表紙からして敬遠する人が多そうだけど、オチがやや重めな刑事ものであり、お軽いバディもの。
表紙からは想像も出来ないほど刑事小説しているので、良い意味で意表を突かれたかな。
作者のブログによるとドラマ化もするそうで、けっこう驚いたり。


『午後からは~』と『ダチョウは~』は、動物園を舞台にしたミステリシリーズ。
このシリーズの面白いところは、いわゆる専門職ミステリのようでいてそうでないところでしょうか。

専門職ミステリというのは、探偵役が数学者であったり医者であったりと、その職業だからこそ、その現場だからこそ起きた事件であったり、専門知識を使って謎を解くミステリのこと。
『探偵ガリレオ』とか、『チームバチスタの栄光』あたりが有名だと思う。

この作品も、動物園を舞台にしているから当然ながら動物のうんちくは出てくるのだが、やってることはまっとうな素人探偵もの。
謎を前にあーだこーだと議論をして、徐々に真相に近づいていくあたりとても好感が持てる。

下手な作家が素人探偵ものを書くと、

『なぜ刑事ではなく主人公たちが事件を調査するのか?』

という部分の説得力が弱いんだけど、このシリーズはちゃんとその辺の問題を解決しているからね。
事件の中心が動物なのであまり大きな事件にはならず、警察が取り扱わないような被害でしかないから仕方なく主人公たちが乗り出すっていう流れはけっこう上手いと思う。

事件そのものは小さく思えるのに、最後には想像も付かないほど規模が大きくなるのも上手いなあ。
素人探偵ものなのにちゃんと犯罪小説にし、さらには動物を事件に絡めて職業ミステリにもしているなど、構成や設定の使い方が上手いんだろうな。

『戦力外~』でもそうだったけど、似鳥鶏作品はオーソドックスな型を少しだけ外しているところが面白いね。
『理由あって冬に出る』から続く葉山くんシリーズも、学校を舞台にしているのに日ミス以外にも犯罪や殺人を取り扱ったりしているし。
(さらにいえば、謎の中心がホワイダニットではなく、ハウダニットなところも面白いですよね)


この動物園シリーズは、探偵たちがちゃんと自分で考えて謎や手掛かりに接近していくところが描かれているので、けっこう好みかもしれない。
ビックリするほどの名作というわけではないものの、この作者の雰囲気がよく出ている安定した作品の数々でしたね。
葉山くんシリーズともども、これからの作品も楽しみ楽しみ。
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