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『アリス・リローデッド』1巻 感想。

ラノベ感想
11 /19 2013
アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム (電撃文庫)アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム (電撃文庫)
(2013/02/09)
茜屋まつり

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第19回電撃小説大賞、大賞受賞作品『アリス・リローデッド』、読了。
めちゃんこ面白い、ファッキン西部劇!(作品の性質上、あえてこの表現)

西部劇といっても古臭い部分はなく、洋画めいたスラングバリバリの言葉使いに魔法が込められた弾丸など、ちゃんと現代ライトノベル的なエンターテインメントに仕上がっている良作です。

もう、
「この雰囲気大好き!」
という一言に尽きる。

文章もこなれているし、展開もとても丁寧だけど、それよりなによりこの作品世界が大好きすぎる。
なんちゃって西部劇ということもあり、台詞回しがまんま洋画のそれなんだから。

本文31Pより引用

『よく喋る女と、人の言葉を聞かない女は抱かないほうがいい。その両方だったら、ためらわず撃ち殺せ』


本文118Pより引用

「何が《ライトニング・ワイルド》だ。カタツムリ・マイルドのほうがお似合いだぞ」


などといった言葉からもわかるように、洋画めいた粋なユーモアがそこかしこにあふれている。
洋画好き、そしてガンアクション好きにはたまらないものがあるな、これ。


しかし、西部劇ってのは銃の強さが絶妙だよなあ。
拳銃はガンベルトに巻いた弾丸を一発一発手で再装填しなくてはならないし、射程距離の長いレバーアクションのライフルも走っている相手にはまず当たらないなど、強すぎない程度に凶悪な武器という性能だからね。

あと一歩で格闘戦ってくらいの距離なら最強というポジションが銃に与えられているので、戦闘の緊迫感もすごいことすごいこと。
敵のライフルからの狙撃を疾走してはかわし、相手に駆け寄って撃ち倒しつつ排莢して再装填するとか、なにそれ燃える。
ショットガンはソードオフ(銃身を切り詰めて弾をバラけやすくした改造)にして接近戦用にしているとか、作者のわかってるっぷりがたまらない。

文章が丁寧だからか、そういったアクションもすんなりと脳内で映像として再現できるしなあ。
やっぱり、文章が上手い作品はそれだけで評価がかなり上がっちゃうよ。


西部劇らしく、登場人物がみなクソッタレなアウトローどもなのもいいねえ。
命の価値がとても軽く、主人公だろうが敵だろうがあっさりと人を殺していくのに、残酷さを感じないのも上手い。

これは、主人公の持つ銃の一人称というのが関係しているんだろうな。
アクション部分でもそうだけど、自分は死なないけど持ち手は死ぬかもしれないという絶妙な距離感が客観性を、そして自分では何もできないという焦燥感がほどよいサスペンスを生み出しているんだろうね。

道具の一人称という作品は、一般レーベルではいくつか読んだことあるけど(宮部みゆきの『長い長い殺人』とか)それをライトノベルで、しかもアクションものでやったのはすごいなあ。

そういった一風変わった文体もさることながら、ちゃんと用意した伏線をあますことなく回収し、さらにはタイトルにもなっている『リローデッド』という要素を作品全体に落とし込んでいるところも非常に好み。

ネタバレというほどでもないから書くけど、歴史改変という『やりなおし』といった意味合いと、弾丸を『再装填』という二重の意味が込められているからね。
この『もう一度』って要素が銃に、そして主人公に大きな意味があるなど、ミステリ的な表現を用いればじつにエレガントな構成でしたとも。

作中の山場でも、当然ながら『リローデッド』が重要な意味を持つんだけど、それがまたカッコイイのなんのって。
小説という、一冊の中ですべてが完結する世界の面白さを改めて感じさせてくれる良作だったね。


というわけで、大満足。
せっかく発売日くらいに買ったのに、半年以上も積んでいたというぼんくらでしたとさ。
自分ではよくあることとはいえ、もっと早く読んでおけばよかったなあ。
とても面白かったので、2巻と3巻も買ってきて一気に読もうっと。
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fujimiti