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『マグダラで眠れ』3巻 感想。

ラノベ感想
12 /13 2013


電撃文庫、支倉凍砂著『マグダラで眠れ』3巻、読了。
積んでいたのを、ようやく崩す。
読む前から面白いとわかる作品って、集中して読みたいと思うせいかついつい積んじゃうんだよね。

で、内容だけど、今回も安定して面白い。
いつもの支倉先生作品らしく、ストーリー自体はわりとわかりやすい流れなものの、
(羊の毛の話は、知っていればすぐにオチがわかるものだったし)
中世世界の描写が細かいし、キャラクターも魅力的なので十分に満足しちゃう。

支倉先生の文体は本当に好みだなあ。
『狼と香辛料』のときからだけど、たんに丁寧なだけじゃなくてちゃんと小説として上手いというのはすごいよな。

町の風景やら登場人物の服装をただ描写するのではなく、そこから進めて主人公たちがどのような状況に置かれているか、町の人が錬金術師をどう思っているのかなどを説明してくれるからね。
それだから、感覚ではなく実感として今がどれだけ危機的状況なのかわかるんだろうな。

地の文や展開に無駄がないんだろうな、きっと。
文章や描写を単なる衒学趣味に留めず、作品を進めるために必要な要素にしているってのは本当に上手いと思う。

ある意味では、小説よりも論文に近い書き方とも言えるのかな、この文体。
結論を急がずに、遠いところからゆっくりと読者に理解を深めさせていくって感じ。

個人的に、この文体はファンタジーやSFではひとつの理想系だと思う。
その世界という背景と、そこに住む人物、さらには物語という三つの要素を同時に説明してくれるから。
半径100Mの世界から初めて、101Mより先の世界まで案内してくれるというかなんというか。

SFだけど、『BEATLESS』も読んでいるときにこれと似たような感覚を味わったな。
あっちでも、百年後の未来社会というものを遠くから一歩一歩描写して行き、現代には存在しない新しい概念であるアナログハックの説明をしたからね。
そうやって未来世界を十分に理解させたあとに物語を動かし、最後にはまったく新しい思想や哲学を読者に理解させるという衝撃にまで持っていったからなあ。

支倉凍砂先生や、長谷敏司先生のように、ちゃんとその世界のことを理解しているって感じの作品は貴重だよな。

というわけで、続けて4巻も読みたいと思います。
じっくりと楽しみたい作品だけに、読もう! って思った今じゃないとまた積みそうだし。

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感想リンク。
『マグダラで眠れ』1巻。
『マグダラで眠れ』2巻。
『少女は書架の海で眠る』

『WORLD END ECONOMiCA』

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(2012/10/11)
長谷 敏司

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