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『世界の終わり、素晴らしき日々より』感想。「イラストからは想像できないほど銃撃戦が渋い」

ラノベ感想
06 /05 2014
世界の終わり、素晴らしき日々より (電撃文庫)世界の終わり、素晴らしき日々より (電撃文庫)
(2012/09/07)
一二三スイ

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積んでいたライトノベルを読み崩そう祭りで読んだ一冊。
電撃文庫の『世界の終わり、素晴らしき日々より』

表紙・あらすじ・タイトルからして『旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。』(感想リンク)みたいなセカイ系かと思ったけど、どちらかといえば『キノの旅』の作風に近かったかな。

17歳のコウと12歳のチィというふたりの少女が旅をしているのだが、その世界がかなり殺伐としている。
架空歴史ものめいた設定があり、日本は『高国』と呼ばれる国と戦争を行っていて今もなお『高国』の兵士が日本にいるという状況。

10ヶ月前に(おそらくは)世界中から突如人間が消えてしまうという謎の現象が起きたので戦争はうやむやのまま終わったのだが、旅をしようとすればいつ敵国の兵士と遭遇して戦闘になるかわからない上に、そもそも同じ日本人でも決して安全ではないというあたりかなりシビアに崩壊した世界を描いている。

そういった設定だけに、前半部分は楽しいんだけど危険がいっぱいという旅ものの醍醐味を十分に堪能できた。
ふたりにはチィの故郷を探すという明確な目的があるものの旅自体も楽しんでいるので、この危険な旅が手段なのか目的なのか彼女を守るコウにもわかっていないというあたりはけっこう好み。

そして後半には『高国』の兵士との戦いが山場として用意されているのだが、それがとても高水準なガンアクション小説ときている。この戦いが非常に面白い。

敵がたんなる兵士で名前も何もないところも渋いのだが、装備もアサルトライフルや手榴弾など現実に即したものになっており、特殊な武器は一切なし。
対するコウは武器が拳銃一丁しかない上に、戦う場所が真夜中の建物と来ているので、緊張感が半端ない。

明かりをつけるだけで敵に気づかれるという状況なので、目ではなく耳で敵の動きを探るところとか、どうにかして敵に明かりを使わせて居場所を見つけようとするなど心理戦の描写が凄まじいことになっている。

その描写が片方だけにとどまらず、コウと名も無き敵兵士の両方に割かれているのがまた緊張感を盛り上げてくれた。
両者ともトラップあり、策略ありで相手の裏をこれでもかとかこうとするなど、どこまでも渋い。

やっぱり、特殊能力なし、実在する銃器による戦いはそれだけで面白さが跳ね上がるな。
このあたりは、時雨沢作品の『キノの旅』やら『アリソン』シリーズでも同じだけど、この作品も同じような面白さが満ち溢れていた。

いつ人が死んでもおかしくない雰囲気を最初からかもし出していたので、最後の最後まで主人公が死んでもおかしくないという緊迫感を維持できていたのは高評価に繋がったな。


そんなわけで、かなり満足。
表紙からイメージ出来るようなセカイ系やらほのぼのとした百合な雰囲気を楽しもうとすると少々面食らうかもしれないけど、個人的にはこのアクションシーンが非常にカッコよかったので問題なし。

丁寧な地の文に、ほどよいくどさの詩的な言い回し、妄想の翼を羽ばたかせれば百合作品としても楽しめるというボリュームたっぷりの作品だったね。 
調べてみたところ3巻まで発売しているようなので、今度買って読んでみます。
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