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『この恋と、その未来。』感想。「森橋ビンゴ&Nardackによる切ない恋愛シリーズ再び!」

ラノベ感想
07 /18 2014


ファミ通文庫、森橋ビンゴ著『この恋と、その未来。』読了。
『東雲侑子』シリーズから2年ぶりの、イラストレーターのNardack氏とのコンビ作品。

これは設定だけで勝ちだなあ。
いや、この作者にこの設定で書かせようとしたことが勝ちというべきか。

全寮制の高校で性同一性障害、つまり体は女でも心は男という未来と主人公の四郎が同じ部屋で暮らすことになった。
こう書くと、ライトノベルやラブコメでお馴染みな男装女子とのまよでチキってるキャッキャうふふになりそうだけど、森橋ビンゴ先生がそんなことをするわけがない。ごくごく真正面から、「男」同士の友情を描いてくれた。

いや、本当。
どこからどう見ても男同士の友情という雰囲気を漂わせているところが、非常に上手い。

未来は女っ気のない四郎に気を利かせてナンパした女友達を紹介してくれたり、お好み焼き屋のお姉さんが綺麗だからお近づきになりたいと四郎にバイトをするように薦めたりと、描き方が男性のそれからまったく外れていない。

中学生時代は女子中に通っていたので、着替えのときは女の子の裸見放題でおっぱいも触りたい放題だったぜとまんまエロ男子な思考をしているので、どこまでも男性として認識できるような描写ばかり出てくるし。

こうやって、ややもすればイカ臭さまで漂ってきそうな話が進み四郎にもガールフレンドが出来るのに、本当に好きなのは未来だったという展開が非常に切ない。

メインヒロインである未来からはいわゆる女らしいという要素がほとんど見られず、たんに肉体が女性であるというような按配に納まっているところが憎らしいったらありゃしない。
帯やあおりでも使われている言葉のように、まさに、

「恋は、心でするのだろうか? それとも、体でするのだろうか?」

といったところ。
こういったテーマめいたものを作品すべてに落とし込んでくれる作風は、やっぱり大好きだなあ。

そんな風に全体的に非常に好みに合っていた作品なのだけれど、中でも一番上手いと思ったところはたんなる一目惚れにせずに丸々一冊かけてようやく四郎が未来への恋心を認識するところだろうか。

秘密を分け合う男同士の友情が確かなものになったからこそ、ふたりは絶対に男女の恋人にはなれないという、友情もののカタルシスと同時に悲恋もののカタルシスをぶつけてくるのは森橋ビンゴ先生の上手さとしか言いようがないでしょう。

自分からしては読んでいるあいだもずっと未来のことを「男」としか思えなかったので、この展開に切なさを覚えると同時にモヤモヤも残ったのがかなーり悩ましい。
このあいだ見た某エログロミステリ映画(ネタバレのためタイトル伏字)私が、生きる肌(伏字終了)と同じようなモヤモヤ感を味わってしまったよ。性別って難しい!


サブタイトルが「一年目、春」となっているので三、四冊くらいで綺麗に完結しそうな作品だけに、続きが楽しみだなあ。
『東雲侑子』シリーズと同じように、この作品も短くピシリと終わって欲しいな。
(ちなみに、本書は『東雲侑子』シリーズと同じ世界らしく、西園幽子の本も作中に登場しています)

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感想リンク。
4巻:『この恋と、その未来。 ―二年目 春夏―』

・1巻 『東雲侑子は短編小説をあいしている』感想。
・2巻 『東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる』感想。
・3巻 『東雲侑子は全ての小説をあいしつづける』感想。
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