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『東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる』感想

ラノベ感想
01 /15 2012


ファミ通文庫、森橋ビンゴ著『東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる』読了。
森橋ビンゴ先生がおくる、もどかしすぎるド直球な恋愛小説の続編です。

今回も面白いんだけど、こいつは感想が書きづらい。相変わらず、男女がやきもきした恋愛劇を繰り広げるだけで、ほとんど終わってしまっているうえ、細かい部分を語ればすべてがネタバレになってしまう。
それなので感想も、
「おもしろかったです まる」
の一言で終わっちゃう。
それでもいいんだけど、それじゃあつまらないので、ここは構成と視点について語ってみましょう。

正直に言って、この作品は続編が出るとはちっとも思っていなかった。
一人称であり、ヒロインが感情表現に乏しい少女なので、一巻完結の恋愛小説としての完成度は高くなるだろうが、ラブコメ展開にはできないと感じられたからだ。
同じ作者の『三月、七日』では、視点人物が何人かいたので、主人公とヒロインの情報量の差によってもどかしいすれ違いを描けていたが、この『東雲侑子』ではそれができない。話が広げられないのだ。

それでも、本書はこの二重苦を背負いながら、一巻よりもより、もどかしいすれ違いを描いてくれた。
これが出来たのは、幕間に挟まれる西園幽子(東雲侑子のペンネーム)が書いた作中作『いとしくにくい』のおかげだろう。

本作では、西園幽子による小説が合間合間に挿入される。この内容が、主人公の三並と東雲の関係と一致するのだ。
これによって、読者は三並が知ることのできない東雲の気持ちを知れるので、ふたりのすれ違いがもどかしく感じられることになる。
読者は三並と東雲がすれ違っていることも、その理由もわかるが、三並にはなぜすれ違いが起きているかわからない。
1巻で感じられたもどかしさの、別アプローチといったところか。

これの上手いところは、『いとしくにくい』が作中作であるところだ。
そこに描かれる東雲(らしい人物)の描写はあくまでも小説なのであるから、
「じつは東雲侑子の気持ちとは無関係なのではないか?」
という不安(主人公とヒロインが結ばれないのではないか? という不安)が、読者を最後まで飽きさせない原動力になっているのだろう。

あとがきによると、なにやら続編もありそうな雰囲気になってきた。
1巻でもキチンと完結しているうえ、本書の終わり方でも十分に完結しているのだから、続きがどうなるのかが楽しみでしかたない。

――――
感想リンク。
・1巻 『東雲侑子は短編小説をあいしている』感想。
・3巻 『東雲侑子は全ての小説をあいしつづける』感想。

1巻:『この恋と、その未来。』
4巻:『この恋と、その未来。 ―二年目 春夏―』

こんなのもオススメです。
『友達からお願いします。』清水マリコ
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