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ラノベ感想:『ノーゲーム・ノーライフ』7巻。「1年3ヶ月ぶりの新刊! ゲームですべてが決まる異世界を舞台にした国取りファンタジーの第7巻。今回もルールの扱い方がキレキレに決まってる!」

ラノベ感想
08 /11 2015

榎宮祐『ノーゲーム・ノーライフ』の7巻読了。
今回も面白かったー!

今回のゲームはすごろく。
与えられた10個のサイコロを振り、移動のたびにサイコロをひとつずつ減らしていかなければならないこのゲーム。
マス目の関係上、10個だけでは絶対にゴールできなくなっており、参加者はひとり50個の課題をマスとして配置し、マスに止まった人はそこに書かれた課題をクリアできなければサイコロをひとつ譲渡しなければならない。

一番簡単な攻略法として参加者すべてのサイコロをひとりに集めて一気にゴールしてもらうというのがあるのだが、参加者の中にはひとり裏切りものがいるとルールに書かれているので、やすやすと協力することが出来ない。
裏切りもの以外は二十四時間分の記憶を消されているのでどのような経緯でこのゲームを行うことになったのかわからないなど、暗中模索のままゲームが始まってしまう。

普通のゲームものの作品だとこの状況ならば疑心暗鬼サスペンスとして物語が進んでいくのが当たり前なんだけど、そこはさすがの『ノーゲーム・ノーライフ』
ルールを見たとたん、空が「めんどくせーから、裏切りものは俺ってことにしよう」と宣言し、誰が裏切りものだろうが構わない状況を作り出すなど開始50ページから切れ味が鋭すぎる。

これこれ。自分がこの作品に求めているのは、この雰囲気なんだよ!
参加者がお互いにルールに納得しなければゲームを行えない世界なんだから、誰かひとりだけが損をするゲームが存在するはずがない。

そういう思考が根底にあるからこそ、
「このルールなら、誰が得をするか?」
を考えて、
「このルールは自分しか得をしない。ならば、これを組み込んだのは自分だろう。となると、このルールを活用すれば自分は絶対に勝てるはずだ」

とまあ、自分だけが有利になるようなルールを全員が全員そこかしこに仕込んでいる様は圧巻。
たとえ記憶を失っていようが、ルールを吟味すれば他者を出し抜ける道が見つかるとか何だよこれ。

なんでこの小説って、裏切りものがいると言われても誰も疑問に感じないし、そのまま問題なく物語を進めていくことが出来るんでしょう。
(そもそもにして、主人公である空その人が「俺がいる時点で協力プレイをしようとするやつなんていない」と言い切るところはさすがとしかいえないけどさ)

そんな風にキレキレなルール小説しているくせに、途中で展開されるぼんくらエロコメ要素のネジの外れっぷりも毎度のことながらエンジン全開だし、一年以上ぶりの新刊というブランクを感じさせないほど楽しめたな。
(白の無駄すぎる計算の果てにある結論には、心の底から「バカだ」と褒め称えることしかできない)

7巻になっても、まだまだ続きがヤバイほど気になる作品ですともさ。
今回も前後編の前編ということで、後編が楽しみだなあ。


以下、ネタバレを含む感想を折りたたんで書きます。

――――――――――――
感想リンク。
『ノーゲーム・ノーライフ』1巻
『ノーゲーム・ノーライフ』2巻
『ノーゲーム・ノーライフ』3巻
『ノーゲーム・ノーライフ』4巻
『ノーゲーム・ノーライフ』5巻
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 雑感。
『ノーゲーム・ノーライフ』6巻 感想。

『ノーゲーム・ノーライフ』16種族についてのメモ。
・ライトノベル感想:榎宮祐作品は人間賛歌だ!


以下、『ノーゲーム・ノーライフ』7巻のネタバレが含まれていますので、読んでいない人はご注意を。



サブタイにもあるけど、今回は『定石』がひとつのキーワードになっているのかな?
定石ってのは勝つために自然に生まれるものであり、次々と新たな定石が生まれ最終的には必勝法になる。これは実際にチェッカーで立証された法則なんだよね。
チャッカーは最善手を指せば必ず先手必勝になる。いずれチェスも必勝法が生み出されるとまでいわれているし。

この『定石』に加えて、作中で空が例として出した『囚人のジレンマ』はかなり重要なものになりそうだけど、どう絡ませてくるかなあ?

ちなみに、自分は前々からこの囚人のジレンマについて、ルールの抜け穴というか屁理屈を考えていたものなのでついでにここで書いておきます。

ルール上、囚人AとBの両方が沈黙すれば両方とも懲役二年。
片方だけ自白すれば、自白した方は釈放、黙秘したほうは懲役十年。
ふたりとも自白すれば、両方が懲役五年となる。

一見すると相手を信用して沈黙し懲役二年を選ぶのがベターに思えるが、相手が喋ってしまうと最悪の結果になるというあたりがジレンマのゆえん。
でもこれって、「あいつひとりですべてを行った」と自分の無罪を主張して一方的に他者に罪をなすりつけようとしたらどうなるのだろうか?

これは真相とは違う真っ赤な嘘なので、警察はそれが嘘か本当か調べる必要が出てくる。
その場合、真相を調べている間は罪に問われないのではないか?
というのが、自分が前々から考えていた屁理屈。

お互いがお互いに片方しか罪を犯していないと主張してしまうと、『藪の中』みたいに誰が犯人なのかわからない状況が生まれると思うし。
この『ノーゲーム・ノーライフ』でも、空が81Pで「裏切ると信じ合ってりゃより良い以上の最高の結果得られるから」と言っていただけに、そんなのを思い出してしまったな。


これらの話題も興味深かったものの、個人的に一番キたのはプラムの作戦。
この作品はずーっと弱い奴が一番怖いと言っているものだけど、今回もそれが炸裂。
神霊種とのゲームで絶対に勝ち目がないのならば、ゲームの外で勝利を得ればいいとかとことんまでかきましてくれるよなあ。

ルール上、課題をクリアされ続けたらすぐに敗北するこのゲーム。逆にいえば、即座に敗北すればゲームにかかりきりになっているほかの参加者を出し抜くことが出来るとかね。
よくもまあ、ここまで読者にルールを意識させつつ、そのルールの外側ですべてをひっくり返そうとたくらむ奴らばかり出せるものだと毎回ながら関心しちゃうよ。

空と白が思惑を隠しているのはいつものことだけど、いまの段階でも神霊種、巫女、プラム、クラミーとフィール、そしてジブリールとそれぞれが好き勝手に自分の計画を進めているだけに、本当に次で全部決着がつくのかと首をかしげてしまうほどのてんこもりさだね。

あー、早く続きが読みたいなー。
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