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『ビブリア古書堂の事件手帖 (5)~栞子さんと繋がりの時~』感想。「ミリオンセラーも達成した大人気ビブリオミステリの第5巻。今回のメインは『ブラックジャック』」

ミステリ・SF感想
12 /09 2015


メディアワークス文庫、三上延著『ビブリア古書堂の事件手帖』の5巻。

ライト文芸を色々と読んでみよう祭りの一環で積んでいた5巻を読む。
改めてこのシリーズを読んでわかったけど、この作品はミステリとしても高水準なんだよな。
ちゃんと日常の謎(日ミス)を描いている。

今回は手塚治虫『ブラックジャック』がお話の中心。
漫画とはいえ、作者が作者であるのでこの作品も逸話がいっぱい。

単行本の際に掲載順を入れ替えるといったエピソードは有名だけど、ある特定の版にしか収録されていない作品もあるなど何ともマニア泣かせな作家だよな。
手塚治虫はことあるごとに修正する人なので、雑誌掲載時と単行本でも内容に違いがあるというのも聞いたことがあるし。

内容としては、今回も本と人に関わる謎を中心にした日ミスなんだけど、やっぱり面白い。
ライト文芸はミステリを扱ったものも多いけど、この作品ほど日ミス日ミスしているものも珍しいよなあ。

このあたりの感覚は上手く説明できないな。
違いというか、単純に好みの問題なだけかもしれないし。

自分なりにどこが違うのか考えてみると、作中で用意された謎がたんなるクイズや豆知識ではなく、ちゃんと事件の背後に繋がっているからなのかな。

いまひとつな日ミスだと、この謎と物語が分離しているからな。
トリックを解きました。では、それを行った犯人のところへ行きましょうってやつ。

そうじゃなくて、
「謎を解きました」と「だからこそ、この人はこうした」
という部分が同時に解き明かされる日ミスが好きなんだよな。
そこに専門知識が絡んでいるとさらによし。そして、出来れば専門知識がなくても読者に解けるような謎だったら完璧。

トリックを解くのと同時にホワイダニットも解くという、北村薫先生のころから続いている王道日ミスの形がそれなんだよな。
ミステリ的にいえば、最後の一撃にも近い。たった一行で謎がすべて解決するという類のもの。
『ビブリア古書堂』はそこらへんの呼吸がちゃんと守られている気がする。
この巻にしても、

「なぜ、この人はすでに何冊も持っている『ブラックジャック』の4巻を新たに買ったのか?」

という謎に二重三重の意味が用意されており、それを解き明かすことで家族の問題を一気に解決させたからな。
このあたりの呼吸を大事にしてくれるミステリが好きですね。

この巻はとても良いところで続いていたので、6巻も出来るだけ早めに読みたい。
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コメント

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No title

長く読んでいたい私としては、
少し足踏みみたいな感じはするのですが、
とてもうれしい内容でした。
すべての話がよくできていて私は好きです。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。

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「ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~」三上延

静かにあたためてきた想い。無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。彼女の答えは―今はただ待ってほしい、だった。ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。謎めいたいわくに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。脆いようで強固な人の想いに触れ、何かが変わる気がした。だが、それを試すかのように、彼女の母が現れる。邂逅は必然―彼女は母を待っていたのか?すべて...

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